役員変更登記

忘れやすい役員の変更登記

登記には期限があります

会社の登記事項(登記簿に記載される事項:商号・目的・本店・役員など)に変更があった場合は2週間以内に登記をしなければなりません。もしこれを怠ったときは、100万円以下の過料(会社法976条1項1号)に処せられる可能性がありますので、できるだけ期限内に登記するように気をつけましょう。

支店登記もしている場合は支店所在地においても3週間以内に登記が必要です。ただ、本店所在地で登記をしたら必ず支店所在地でも登記しなければならないわけではなく、商号・本店の所在場所・支店の所在場所(その支店所在地を管轄する登記所の管轄区域内にあるものに限る)に変更があったときだけ登記義務があります。

忘れやすい役員変更登記

平成18年4月以前に設立された株式会社の場合、最初の役員の任期は「設立後1年内の最終の事業年度に関する定時株主総会の終結の時まで」です。通常は事業年度終了後2ヶ月後に定時総会を開催することになります。そこで役員の任期が満了し、改選されます。その後は2年に1回役員の変更登記が必要です。役員の登記は忘れがちなので注意しましょう。こんなところで過料になってしまい、余計な出費がかさむのは痛いですよね。

平成18年5月以降は、役員の任期を1年以上10年以内で任意に定めることができます(監査役は4年以上)。次の任期満了日を把握しておき、忘れないようにしましょう。

任期が長いことのメリット・デメリット

会社法施行(平成18年5月1日)以前は、取締役の任期は通常2年でした(監査役は別)。2年毎に任期が満了し、再度役員の選任が必要です。役員の選任をすると、たとえそれが同じ人であっても登記をすることになりますので、登記費用がかかります。

これが、任期を10年にすると10年毎の登記になりますので登記費用が節約できます。会社法施行前に設立した会社も定款を変更して任期を延長することができます。

一見、任期が長い方がよいように思いますが、デメリットは、役員解任のコストが上がるという点です。

たとえば任期を10年にしたものの、役員の一人を任期途中で解任することになった場合、残りの任期に関する役員報酬を支払わなければならくなる可能性があります。

役員がオーナー社長1名のみという場合は、途中で解任することはあり得ませんので、10年でよいと思います。

取締役を3名未満にしたり監査役を廃止することもできます

現行法では、取締役は1名以上いれば足り、監査役については置かないこともできます。平成18年4月以前に設立した株式会社は取締役3名以上、監査役1名以上で設立されていますが、現在はこれを変更して取締役を1名にしたり、監査役を廃止することができます。

法律の要件を形式的に満たすため外部の方に役員をお願いしていたようなケースでは、会社法施行後、実体に合わせるため役員を1名か2名に変更している会社が多いです。

取締役を3名未満にしたり監査役を廃止するには定款の変更が必要になり、登記では「取締役会設置会社」(「監査役設置会社」)である旨の廃止および「株式の譲渡制限に関する規定」の変更を行います。

注意点としてはこれら定款および役員変更の登録免許税が7万円になりますので、一時的にですがかなりのコストがかかってしまうことです。単純に役員の入れ替え(資本金1億円未満の株式会社)でしたら、登録免許税は1万円です(いずれも報酬を除く)。

費用がかかるのは一度だけですので、形式的な役員を置いている場合は、役員改選の際に一緒に検討してみてはいかがでしょうか?

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